THE LONG STORY

ブランディングとレタープレス。

どちらも、自分がとても好きで、自分でやろうと思って、続けてきたことたちです。

2つの要素が混在することへの迷いや、伝えにくさ、割合が定まらないでいることなどにモヤモヤする時期もありました。自分自身に説明がついていなかったから、うまく伝えられなかったのだと思います。

でもずっと、そこには共通点があるはずだと、探していました。

ある時、あーそうか、と繋がった瞬間がありました。それは、やはり私の原点に立ち戻るものでした。

私は幼い頃から、家族ぐるみでつきあう友人のいるカリフォルニアを訪ねることが多くありました。サンディエゴやフレスノ、ソノマといった街でした。その度に決まって訪れる場所に、空港のあるサンフランシスコがありました。

大人になって、サンフランシスコはとても素敵な街だとわかり意識的に訪れていた頃に、レタープレスに出会いました。

当時の西海岸は、復活を遂げたレタープレスの大ブームで、ステーショナリーショップじゃなくても、カード売り場には「Letterpress」という区分がちゃんとあるほどで、ウェディングの紙ものはレタープレスがおしゃれで最先端という感じでした。

そんな中で私が出会ったのは、ある雑貨屋さんに置いてあったレタープレス・ステーショナリーのサンプル帳でした。

レタープレススタジオの作品事例を綴じた何冊もの分厚いファイル。並んでいた一冊を手にとって表紙を開いたとたん、その美しさと魅力にとりつかれてしまったのでした。

その時は、それがどうやって作られたものなのかさえもわからなかったにも関わらず、「これと同じようなものを私も作りたい!」と思ったのを覚えています。この印刷が生み出す、人の心を動かすほどのペーパー・ステーショナリーを作りたいと。

 

それから数年して、東京で活版印刷機を手に入れ、レタープレスのレーベルをとりあえず立ち上げるのですが、右も左もわからない独学のレタープレス活動の中で私が頼りにしたのが、カリフォルニアを、その後再度訪れて出会った、レタープレス・スタジオを営む女性たちでした。

気になっていたスタジオにアポを取ってどんな風にレタープレスをしているのか、みて回ったのです。気づけば、ほぼ女性が運営しているスタジオばかりを選んでいました。

たぶん、レタープレスの技術や方法、ステーショナリーのデザインといったことだけではなく、「在り方」を感じたかったのだと思います。

そこで出会った彼女たちのライフスタイルが、今の私に大きく影響を与えています。

彼女たちは、大好きなレタープレスのステーショナリーづくりを仕事にしながら、家族の近くで仕事をしていました。

小さなショップは世界観で溢れ、奥では、クールな青年が印刷機を回し、地元のおばちゃんがカードのソーティングをし、自転車で通ってきた女の子がミシンで紙を縫い合わせている。足元には犬がいて、皆の笑顔があふれている—

その印象が痛烈に、私の心に残りました。そして、レタープレスの仕事をこんな風にやってみたい、女性たちみんなが、こんな風に好きな仕事ができるようになったらいい、という思いが宿りました。

あれから自分の人生のステージも変わり、家族も増え、住む場所も変わり、いろいろなことがありました。でも、私の中に宿ったそのシンプルなイメージはずっとそこにありました。

どうすれば、あのイメージを私なりに具体化できるだろう?」

その問いに答えるために、日々を過ごしてきたようにさえ思います。

今の段階で出た答えは、「自分の好きなことを仕事にして、誰かを幸せにしたい」と思う女性たちの力になること。そして、これまでたくさんの時間と心を注いできたレタープレスの魅力を、自分なりに伝えていくこと。この2つです。

 

私は会社員時代には、デザイン会社の企画職として勤務していました。

そこで当時多く担当していたのは、グラフィックデザインのチームにおける、企業やサービスのアイデンティティを開発する業務でした。ロゴなどのデザインを作る前段階を詰めていく仕事です。

お客様の思いをヒアリングし、言葉やコンセプトにしていくプロセスに多く関わっていました。またその後のデジタルデザインのチームにおいては、「人がブランドをよく体験する」ということについて、日々考える機会がありました。

この経験とノウハウを活かせるのではないか?と考え、レタープレスの活動に加えて、スモールビジネスを行う女性向けに特化した、ブランディングのサービスをスタートさせました。

当初は、ブランディングのご相談にきてくださったお客様に、レタープレスのアイテム作りをお客様におすすめしてみよう、と考えていました。でも、面白いことに、私から言わなくても、レタープレスの魅力にすでに気づいている方ばかりが私のもとに来てくださるのです。

レタープレスがいい、とおっしゃってくださる方の思いの奥には、丁寧なコミュニケーションをしたい、とか、紙ものをつくるなら、思いが伝わるような媒体にしたいとか、質感や余白を大切にしたいとか、そういった思いを持たれていることが多く、また、それがmegropressのお客様に共通してあるということにも気づきました。

そしてそれは、まさに私自身が思っていることでもありました。

megropressのブランディングとレタープレスは、どちらの影響も受け合いながら、さらに成長していく、同じ思いから生まれた二卵性の双子のようなものかもしれません。

いろいろな波の中で、オーガニックに変化していくその輪郭は、きっと自然な形なのだと受け入れています。今のmegropressのかたちは「レタープレスの世界のエッセンスをたっぷり注ぎ込んでいる、ブランディングをメインとした活動体」といったところでしょうか。そう、思いの強さとしなやかさは同居できるのではないかと思っています。

さまざまな縁とタイミングで自分にやってきたものが、ひとつになって強くなっていく。しなやかに変わりゆくけれど、すっくと通った軸は揺るがずにある。

そんな女性たちのストーリーを、今度は、あなたと共に新たに紡げたなら、そんなにうれしいことはありません。