【読書】宇宙の周波数で読む
最近は毎晩,こどもたちとオリオン座を眺めてから眠りにつきます.
これだけ明るい都会ではそこまで星は見えないのだけど
目を凝らしていると小さな星も見えてきます.
そして,やはり寒い夜ほど,星は美しい,
月も冴え冴えして,潔くって空気は頰を刺すようだけれどついつい外に出て天を仰ぎ見てしまいます.
ここ最近のお気に入りのこの随筆.『星は周る』.
作者の心からの星への愛を感じ穏やかな文体もとても心地よいです.
季節の星について綴っているけれど,やはり一番は冬だとのこと.
「星を知らない人たちが, 天文学の入門は夏の夕涼みか, 少なくも銀河の冴える秋の夜であろう と思うのは無理もないが, 実は冬のことである.
そして,オリオン座付近から 教えられた星の美と神秘とは, 生涯を通じ冬ごとに味わずには いられぬものとなり, 冬が徒らに熱い飲料と燃えさかる炉の人を恋い, 或いは一途に春の訪れを待ち侘びて 過すべき季節でないことを, しみじみ覚ゆるようになるに相違ない.」
− 野尻抱影 『星は周る』
読めばきっと,夜空を仰ぎ見たくなるはずです.
作者のお気に入りはオリオン座でその愛情の深さは,こちらが思わず笑顔になってしまうほど.
この都会でもちゃんと見えるオリオンの3つ星,こどもたちも,覚えてくれたんじゃないかな.
ちょうどこの本を読みながらBGMにしていたのはポーランドのピアニスト,スワヴェク・ヤスクウケ.
「宇宙の周波数」と言われる432Hzでチューニングされた曲もあり目から耳から宇宙へ漂っているような素敵な気分です.
そして,この本の美しい装丁を手がけられた重実生哉さんと,スワヴェク・ヤスクウケと私は,同じ年の生まれだとわかって
これはもう,なにかの必然なんじゃないかと考えてしまいます(笑)