自分が「この仕事をする」理由を明確に見出す方法
「生きがい」と「IKIGAI」
「IKIGAI」という言葉が世界中で知られるきっかけとなったのが、2016年に出版された『Ikigai: The Japanese Secret to a Long and Happy Life』という本です。
この本は世界中で読まれ、その後、日本人の脳科学者・茂木健一郎さんも『IKIGAI』を海外で出版するなど、「IKIGAI」は日本を代表する考え方の一つとして広く知られるようになりました。
一方で、日本人が日常で使う「生きがい」という言葉には、「毎日の楽しみ」や「人生の張り合い」といった、もっと身近で穏やかな響きがあります。
それに対して、海外で語られる「IKIGAI」は、自分らしい仕事や人生の目的、社会との関わり方を考えるための概念として紹介されることが多く、特にビジネスや自己実現の分野で広く活用されています。
その中でもよく知られているのが、「好きなこと」「得意なこと」「世の中が必要としていること」「対価を得られること」の4つの視点から考えるIKIGAI CHART(下の図)です。
この4つの円が重なるところに、自分らしい仕事や生き方のヒントがあるという考え方は、スモールビジネスや個人で活動する人にとっても、とても示唆に富んでいます。
もちろん、このチャートが「生きがい」のすべてを表しているわけではありませんが、自分自身を多面的に見つめ、「私はなぜこの仕事をしているのか」を考えるための、とても優れたフレームワークだと私は感じています。
IKIGAI CHARTとは
IKIGAIというコンセプトは、4つの円が重なり合う図で表現されることがよくあります。
それぞれの円は、
好きなこと(What I love)
世の中が必要としていること(What the world needs)
対価を得られること(What I can be paid for)
得意なこと(What I am good at)
を表しています。
この4つの視点が重なる場所が、自分らしい仕事や生き方につながる「IKIGAI」である、と説明されています。
また、隣り合う2つの円にも、それぞれ意味が与えられています。
好きなこと × 得意なこと = Passion(情熱)
好きなこと × 世の中が必要としていること = Mission(使命)
世の中が必要としていること × 対価を得られること = Vocation(実用的な職業・社会的な役割)
対価を得られること × 得意なこと = Profession(専門性)
そして、この4つが全て重なる中心の部分が「IKIGAI」、つまり、The reason to liveー生きる理由となる、と説明されます。
私がこのチャートから感じたこと
改めてこの「IKIGAI」という逆輸入されたコンセプトを見ると、仕事とは、自分らしさを社会の中で活かし、誰かの役に立ちながら、自分自身も成長し、喜びを感じられる営みなのだということに気づかされます。
そして、その可能性は誰もが持っています。
私たちは、それぞれの人生の中で、この4つの円が重なる場所を探し続けているのではないでしょうか。
IKIGAI CHARTは、その旅を俯瞰して見つめるための一つの視点です。今という時代に生きる自分だからこそ、何ができるのか。自分自身を内側と外側の両方から見つめ直すきっかけを与えてくれます。
すでに仕事を始めている人にとっても、「この方向でいいのだろうか」「もっと自分らしい形があるのではないか」と迷ったとき、このチャートに立ち返ることで、自分の軸を改めて確認することができるでしょう。
シンプルでありながら、自分を深く理解することにつながるこの考え方を、ぜひ多くの方に体験してほしいと思い、このワークシートを制作しました。
このワークが、「私はなぜこの仕事をしているのか」という問いへの答えを見つけ、自分らしいブランドを育てていくための一助となれば嬉しく思います。
IKIGAI WORKSHEETの使い方
このワークには決まった正解はありませんが、取り組みやすい順番があります。
よかったら、以下の流れで進めてみてください。
印刷して、手書きで書き込むことをおすすめします。頭の中だけで考えるよりも、自分の思いや気づきが整理されやすくなります。
4つの円がすぐに重ならなくても大丈夫です。まずは、それぞれの円の中に思いつくことを書き出していきましょう。その積み重ねが、自分らしいIKIGAIを見つける手がかりになります。
おすすめの順番は次のとおり:
1)好きなこと
2)得意なこと
3)世の中が必要としていること
4)対価をもらえること
まずは、自分自身に目を向けていきます。
1)最初に「好きなこと」を考える
仕事とは関係なく、自分の好きなことをたくさん挙げてみましょう。 どういう時に自分の目が輝き、没頭しているかを思い出してみます。
2)そして、次に「得意なこと」を考える
人よりも抵抗なくできてしまうこと、友人の中での役回りや働く中での自分の傾向を思い出します。子どもの頃ほめられたことや、人から言われたことなども思い返してみます。小さなことでも良いです。メモする気持ちで書いていきましょう。
「好きなこと」「得意なこと」から見えること
ここまで書き出してみると、好きなことや得意なことの多くは、子どもの頃の経験と深くつながっていることに気づくのではないでしょうか?
家族の仕事や趣味、育った環境、出会った人、夢中になったこと。そうした一つひとつの経験が、今の興味や得意なことにつながり、仕事の中でも自然と活かされています。
つまり、私たちは突然「好き」や「得意」を手に入れたのではなく、これまで歩んできた人生の積み重ねによって育まれてきたのです。
家族との関係、友人との出会い、先生の存在、住んでいた場所や環境、習い事や挑戦してきたこと。そのすべてが今の自分をつくっています。
だからこそ、まったく同じ組み合わせの人はいません。
「個性」とは特別な才能ではなく、それぞれの人生そのものなのだと思います。
ここまで、自分についてたくさん考えてきました。
ここからは、外側へと目を向けていきましょう。
3)「世の中が必要としていること」を考える
ここで考えたいのは、今、世の中でどのような変化が起きているのか、そして、どのような未来を望んでいるのかということです。
ビジネスでは市場やトレンドを分析しますが、このワークで見つめたいのは、数字だけではありません。日々感じている違和感や社会の変化、これから必要になると感じることなど、自分自身の視点で世の中を見つめてみてください。
そこには、「私は社会にどのような価値を届けたいのか」「どんな未来をつくりたいのか」という、自分自身のビジョンが表れてきます。
4)「対価をもらえること」を考える
最後に考えるのは、「仕事として価値を提供できること」です。
これまでの経験や得意なことを振り返りながら、人に提供できる技術や知識、サービスとして成り立つものを書き出してみましょう。
「世の中が必要としていること」と「対価をもらえること」から見えてくること
私の場合、例えば片付けや事務の仕事でも対価をいただくことはできると思います。でも、それだけでは私らしい仕事とは感じられません。
好きなことや得意なことでお金をいただけるようになることは、とてもうれしいことです。
でも、それはゴールではないんです。
本当の充実感は、自分らしさを活かしながら、その力が誰かの役に立ち、世の中から必要とされていると実感できること。その積み重ねが、自分の仕事の意味やブランドの存在意義へとつながっていきます。
もちろん、最初から4つの円が重なる必要はないです。
大切なのは、それが重なっていく状態を目指すことです。
目指す場所が見えていれば、一つひとつの選択や経験が少しずつそこへ近づいていきます。
ビジネスが成長するとは、売上が伸びることだけではありません。自分の仕事によって喜ぶ人が増え、社会に届けられる価値が広がっていくことでもあります。
その積み重ねこそが、ブランドの存在意義となり、長く選ばれ続ける理由になっていくのです。
IKIGAIという逆輸入コンセプトから考えたこと
誰しも、4つの円が重なる可能性を持っています。
これまで積み重ねてきた経験も、未来に対して抱いている期待や思いも、そのすべてが今の自分をつくっています。そして、その組み合わせは誰一人として同じではありません。
だからこそ、自分らしさを仕事の中で活かしていくことには、大きな意味があるのだと思います。
「自分の仕事をする」と決めた以上、その仕事を通して、自分の強みや価値を社会に届け、誰かの役に立つことで、自分自身も成長し、喜びを感じられる。そんな仕事のあり方を目指したいものです。
このIKIGAIチャートのワークが、「私はなぜ今、この仕事をしているのか」という問いへの答えを見つけるきっかけとなり、「なんとなく」や「流れで」続けてきた仕事が、「これをやりたい」という確信へと変わっていく助けになれば嬉しく思います。
(2026/07 一部記事文を修正しました。また、同じ内容を別の記事として2026/07に再掲載しました。)DOWNLOAD CHART
BUY LETTERPRESS CARD