『NODE』から考えた、WHYを伝える意味

『NODE』が伝えていたこと

10月の連休、昨年も訪れたMEET YOUR ART FESTIVALへ行ってきた。

よく晴れた空に、テーマカラーのオレンジ色のフラッグがはためく。
川沿いの気のいい空気に、おいしい香りも漂って、訪れた人がみな気持ちよさそうだった。

出展をしている友人のアーティストとの再会もうれしかったし、たくさんのすばらしいアートに出会えたことも素敵な体験だったのだけど、今回は、別の話をしたい。

それは、来場者にフロアマップなどとともに無料配布されていた約70ページの『NODE』というアートマガジンのこと。

この冊子は、イベントに関わるたくさんの人の存在とその思いを紹介した冊子だった。

実際に中身を読むと、このアートフェスをつくっているのは、アーティストに加えて、キュレーター、ギャラリー、企業、メディア、プロデューサー、数え切れないほど多くの実践者だということ、そして、アートが創造的かつ持続可能であるためには、それぞれの仕事の価値が伝わり、さまざまな領域のプロフェッショナルが育つ必要がある、という課題認識があること書かれていた。

異なる役割が重なり合うことで、作品が社会とつながり、新たな文化が生まれる。そうした役割に光を当てるために、この冊子はつくられたという。

実際に、代表のメンバーだけでなく、イベントを構成する多様な仕事や役割がダイヤグラムとして可視化されていたり、スタッフの座談会があったりと、かなり細やかに様々な人たちの存在を描き出していた。

これまでにも、さまざまなアートイベントに足を運んできたけれど、ここまでイベントを支える裏方の仕事や、その担い手たちに光を当て、伝えようとしているものはなかったように思う。

アーティストや作品が主役になるのは当然として、その場をつくり上げている人たちの存在まで、こんなに丁寧に伝えようとしていることに驚いた。

「へー、こんな多くの人たちによって成り立っているイベントなんだ!」という一般客としての驚きとともに、このイベントをやっていきたいと願う人との新しいつながりを意図した冊子でもあるんだな、ということが見えてきた。

単なるイベントの記録ではなく、採用や協業というところまでみた、人と人をつなぐ媒体として捉えられると思ったのだ。


WHYを伝えることの意味

私たちは、とかく、作品や商品、サービスなど、目に見える成果に注目しがちですが、しかし、その背景には、つくり手の思いや仕事、判断、関係性などの面では見えない無数の要素がある。

これは、アートイベントに限った話ではない。商品やサービスを届けるブランドや、何かを実現しようとするさまざまな活動にも通じることだと思う。

活動の背景を伝えることは、活動をより深く理解してもらうだけでなく、その活動に関わる可能性を開くことでもあるわけだ。

ブランドの大事な届け先は、お客さまだけど、それだけではなく、将来ともに働くことになるスタッフも大事な届け先。

昨今、日本の人手不足や人材定着の課題が浮き彫りになってきている。

人手が欲しい、でも誰でもいいわけじゃない、欲しいのは「自分たちの思いを理解して、同じ思いを持って行動してくれる人」なはずだ。

私は、「共鳴する人」がブランドの命だと思っている。

お客さまとの価値観のミスマッチはもちろん、スタッフやパートナーとのミスマッチも、顧客体験やチームのあり方、ひいては活動の継続性に影響する。

だからこそ、WHYを伝えることが大切なのだと思う。

なぜ、この活動をしているのか。
何を大切にし、何を実現したいのか。

そうした思いを伝えることは、活動やブランドの魅力を知ってもらうためだけではない。伝える側と受け取る側の双方が、「ここに関わりたい」「この人たちと一緒に何かをつくりたい」と思える相手に出会うためでもある。

共鳴する人と、活動をつくる

『NODE』を通じて、活動の思いや背景を伝えることが、新しい関係を生み出す可能性を持つのだと、あらためて気づかされた。

WHYを伝えることは、共鳴する人と出会い、その人たちと一緒に、思い描いたものを現実にしていくための営みなのだと思う。

ブランドは、お客さまに選んでもらうためだけのものではない。将来ともに働くスタッフや、活動を支えるパートナーとの関係も大切。

これから誰と活動していくのか?
その問いを考えるためにも、自分たちのWHYを伝えていきたい。

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