デザインのスピードと軽さ、本当にそれだけで大丈夫?

現代のデザインは、かつてないほどスピードと軽さを求められてますよね。

SNSやデジタル広告の世界では、目を引くビジュアルが瞬時に消費され、短いライフスパンで次々と新しいデザインが生み出されています。

これは時代の流れとして確かに必要なことであり、まったく否定するつもりはありませんが、それだけでよいのかな、という疑問が頭をもたげます。

たとえば、ある時期、多くのブランドがトレンドに乗るためにロゴをフラットデザインに変更し、シンプルで軽い表現に最適化しました。

でも、それによって一部のブランドは個性を失い、見分けがつかなくなってしまうという問題も生じたと思います。

「デザインの高速化」の弊害

デジタル時代に適応するための最適化が、結果的に「どこかで見たことのあるデザイン」ばかりを生み出す要因につながっている気がします。

また、Webデザインの世界やInstagramの中でも、テンプレート化されたUIや最適化されたフォーマットが主流になり、どのサイトも同じような印象になりがちですよね。

作り手にとっては使いやすく、費用や時間といった制作コストを抑えられるというメリットはあるけれど、その一方でブランドの「らしさ」や「個性」が埋もれてしまうことがあります。

さらに言えば、「デザインの高速化」の弊害として、じっくりと時間をかけて作られたデザインが減少しているという点もあります。 とくに、ブランドの質を表現するリーフレットやパッケージデザインなど、本来は時間をかけてコンセプトを磨き、素材や印刷方法などを含め試行錯誤を重ねて作られるべきものも、「短期間で仕上げること」が前提になってしまうと、深みのある表現が生まれにくくなります。

限りのある予算や、「今この時」に合わせることはもちろん大切ですが、それと同じくらい、長く続く魅力の表現や本質的なあり方を考えることも重要なのでは、と思うのです。

長期的な視点を持ち、時間をかけて築かれたデザインには、トレンドの波に流されない普遍的な力があります。私たちは「最適化」という言葉にとらわれすぎるあまり、大切なものを手放してしまっていないか?

スピードと軽さの時代だからこそ、じっくりとデザインに向き合い、本質的な価値を考えることが求められているのではないかと思います。

本質を見つめるデザインと、持続可能なビジネスの両立

たしかに、「じっくりと向き合うのは大事なのはわかるけど、現実問題、それでは売り上げや収益につながらない」という話もありますよ。クライアントから求められるスピード感に応じながらも、じっくりと深いデザインを追求するのは、コスト的に成り立たない。

じゃあ、どうしたらいい?!

ということで考えたのは、この3つ。

  • 収入源の多角化

  • クライアントの教育

  • 自身のブランディング

①収入源の多角化

これは自衛策ですね。 単発の受注案件に頼るのではなく、ストック型の収益を生む仕組みを持つということです。

例えば、デザインのテンプレートとか、講座とかノウハウといった知識系、あとはマネタイズできるようなブログコンテンツとか、電子書籍とか。

これで、ある程度安心感ができるので、じっくりとデザインに向き合う時間を確保できるんじゃないかと思います。そして、「自分の商品を持つ」ということにも繋がって良いのではないかと思います。

クライアントビジネスだけだと、成果はクライアントのもとに行ってしまうので、たくさん仕事しているのに自分の手元に何も残っていない、ということにある時気づく…という怖い瞬間が訪れます。

ということで、「時間を切り売りする」ではなく、「資産として積み上げる」かたちに変えることで、時間的にも金銭的にも余裕が出て、本来力と時間を注ぎたい本質的なデザインに向き合うことが可能になります。

戦略的に、ある程度の時間をかけて育てていくものでもあるので、気づいたら早めに始めたいですね。

②クライアントの教育、そして③自身のブランディング

やっぱり根本的なこととして、「スピード優先」ではなく、「じっくりと価値を生み出すデザイン」の重要性を理解してくれるクライアントと仕事をすることです。

それには、「長期的に付き合うことで価値のあるデザイナー」「じっくりと深く取り組むデザイナー」として自分自身をブランディングしていくことが大事です。 その価値を発信していることで、そういった理想的なクライアントと出会うことができるわけです。

なので、具体的には、

  • 「長く愛されるデザイン」を求めるクライアントに向けた発信をする

  • 「早さではなく、深さ」に価値を見出す市場をターゲットにする

  • デザインの「長期的に続く魅力」という価値を可視化する

ということが大事だと思います。

つまり、単発の案件ではなく、ブランドアイデンティティの構築に携わる案件を取れるようにしていくことかなと思います。

コンサルティングや戦略提案をセットにできることで、価値が高まるので、単価を上げたり、長期的にブランドの成長を支える形の契約につなげることができます。

それと同時に、「長く魅力が維持されるデザインのためにじっくりと考えるのは時間がかかるのだ」ということを伝えていく努力も必要です。

相手に直接話して伝えていくことももちろん、WebサイトやSNSなどでも、単なるBefore/Afterの見せ方ではなく、「デザインが時間とともにどのように機能し、価値を生み出し続けているか」 を伝えることで、訴求できるかなと思います。

なので、デザイナーにとって、ブランディングまで(ブランディングから)できることはすごく有意義だと思います。
さらに言えば、簡便な印刷だけではなく、本当にふさわしい紙や印刷方法を探したり、印刷に立ち会ってクオリティをチェックしたりすることも、すごく大切なことかなと感じます。

megropressも、「SLOW & DEEP」を大切にしていますが、こういった哲学に共感できるあなた!このスピードと軽さだけが重視される時代に、本質を見ていく価値をともに訴えていきましょう。

ブランディングにご興味のある方は、megropressで講座や個別プロジェクトを承っています。また、代表の目黒が運営に関わる印刷所への見学や説明などおこなっていますので、ぜひお問い合わせください。

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