Monthly Press「まだ名前のないものを育てる」2026年8月号
Monthly Pressは、megropressの目黒洋子が、女性として、母として、人としての視点で、普段のブランディングやビジネスのこと以外に、シェアしたいことがらをその月のテーマとともにお届けする試みです。
1.先月の断片から
2.今月のテーマ
3.今月の小さなお知らせ
1.先月の断片から
・チームでの京都出張
「茶舗 ゆと葉」の2周年リニューアルで京都へ。一緒にブランドを作ってきたクリエイティブチームで今年も現場出張へ。無事に、3年目の出航を後押しできたかなと思います。
ブランドは、始めてからが本番。長く続いていくブランドにするために、私たちも長くサポートをし続けています。まさに一緒に育っている感じです。
今回の表紙は、その帰りに立ち寄った「お匙 京都」にて。
・展示いろいろ
都内はほんとうに恵まれていると思うのは、アートの展示など生で本物が見られる機会が多いということ。
夏休みも始まり、なるべく娘も連れて行こうと思っています。暑いけどね!
・建築家さんとのはなし
お客様が建築家さんとともに建物をつくることになり、最近、その打ち合わせにご一緒しています。
建築家さんの物の見方とか、膨大な量の仕事とか、それぞれのスタイルの違いとか。そばで見ていると、いろいろ面白いなぁと思う。
自分の仕事とはまた違う「ものをつくる」を覗かせてもらっているようで、いい機会をいただいています。こちらはしばらくの長丁場となりそうでとても楽しみです。
レイアウト変更を終えた「茶舗 ゆと葉」の店舗の様子
2. 今月のテーマ
「まだ名前のないものを育てる」
夏休みになり、娘と過ごす時間が増えました。
中学2年生。高校進学も視野に入る時期になり、私はどこかで「そろそろ自分のやりたいことを見つけて、未来に向かって走り出す頃だな」と思っていました。
「ここに行きたい!」「これをやりたい!」という、若いからこその高揚感。
そんなものが見えてくれば、目標に向かって、日々をメリハリを持って過ごせるのではないか…そんな期待もありました。
けれど、娘には、今のところそういうものがあまり見えません。
塾には行っていない。部活も運動部ではないのでユル目。仲良しのお友達は数人いるようだけれど、娘がよく話すのは学校の先生のことだったりします。
私自身、彼女のスタイルがあると信じている一方で、どこか心配な気持ちもあったかもしれません。
もっといろいろなものを見せたほうがいいんじゃないか…
情報をもっと与えて、選択肢を増やしてあげたほうがいいんじゃないか…
このままだと、自分の「やりたい」が見つからないんじゃないか…
でも、娘を見ているうちに、そして、他の人と話すうちに気づいたのは、彼女は、刺激を求めるというよりも、「安心できる世界」に惹かれる人なのかもしれない、ということでした。
「あれ、気配がないな」と思うと、部屋の隅でもくもくと本を呼んでいたり、ここのところハマっているシルバニアファミリーの人形を並べて、自分なりのフォーメーションを考えていたりする。
でも、夏期講習と部活で毎日忙しいと言っていた友達2人が、彼女の招きで祖父母宅まで遊びに来てくれたりもした。
「何もない」のではなく、まだ見えていないだけ
娘は「何もしていない」のではなく、彼女なりの世界をちゃんと築いているんだなと思えてきました。
ただ、それが学校の成績や部活のように、外から見て「熱中していること」としてわかりやすい形ではない、ということなのかも、と。
「熱中するものがない」のではなく、彼女なりの熱中のスタイルというか、その世界に、大人が名前をつけていないというだけかも、と。
もしかしたら、「育てる」ということは、何かを与えて形にしてあげることではなく、その人の中にすでにあるものが育っていくのを、見守るということなんだな、と思いました。
そして、自立もまた、親から離れていくことだけではなくて、安心できる場所があるからこそ、人はそこから外の世界へ出ていけるんだよな、と思いました。
自分の感覚を信じられる場所があるからこそ、「私はこれが好き」「これは違う」と、自分で選んでいけるわけで、そう思うと、娘に対して「もっと外へ」と思っていた自分のほうが、少し焦っていたのかもしれないですね。
人の中にあるものは、最初から名前がついているわけではなくて、誰かに評価されやすい形になって、初めて「才能」や「強み」や「好きなこと」として見えるものもある。
でも、その前には、まだ言葉にならない時間がある。
それは、何もない時間ではなく、「今まさに育っている」という時間なのかもしれない。
また話をブランドにくっつけてしまうようですが、
「これをやったほうがいい」「こんな商品が売れる」と外から形を与えるのではなく、その人の中にすでにある感覚や、まだ本人も言葉にできていない思いを一緒に見つけていくことを私は大事にしています。
そして、それが「これをやりたい」という衝動になったときにはじめて、動き出せばいい。
そう人には言っているんだけど、自分の娘には違うことを考えてしまっていましたね。
夏休みはまだまだ半ば、もう少し子どもたちとの時間が続きます。
娘と行った美術館の帰りのカフェで。
祖父母宅まで来てくれた娘の友人たちと。
3.今月の小さなお知らせ
VISIONARIAは現在エピソード37を配信中です。
「肩書きのジレンマ」というテーマで深掘り中。
以下のリンクより、家事の合間や移動中など、ぜひお耳に入れてみてください。