Monthly Press「受け継がれるもの」2026年6月号

Monthly Pressは、megropressの目黒洋子が、女性として、母として、人としての視点で、普段のブランディングやビジネスのこと以外に、シェアしたいことがらをその月のテーマとともにお届けする試みです。

1.先月の断片から
2.今月のテーマ
3.今月の小さなお知らせ


1.先月の断片から


スタートの準備

5月は、6月から新しいスタートをきるいくつかのプロジェクトの準備が重なった月でした。

6月のはじめ、This is Uの新しい期が始まり、新たなメンバーの皆さんとの時間がスタートしました。まだ始まったばかりですが、それぞれが自分自身と向き合いながら、自分の言葉を探している姿がとても印象的です。

VISIONARIAも、6月にアップデートをしました。

そして、megropressとしてのブランディングのお客さまも、新しい表現に向けてそれぞれにスタートしていきました。

5月は「始める」そのものよりも、「始まる前の準備」をたくさん見ていた気がします。

新しい一歩の前には、目に見えない葛藤や試行錯誤の時間があります。その時間に伴走する機会が多かった1ヶ月でした。

・海外の方々との交流

PRINT+PLANTでは、海外のアートスクールや美術大学などのスタディツアーを受け入れることがよくあります。

今年もベルギーやオーストラリアの学生さんがいらっしゃっています。彼らと話すと、日本という場所に対して私たちとは違う視点を持っていることに気づかされ、とても興味深く感じます。

ベルギー、オーストラリア、ロシア、フランス、トルコ、などさまざまな国にルーツを持つ方々とコミュニケーションをした時間でした。

自分にとって当たり前になっているものが、誰かにとっては特別な魅力として映る。その視点の違いに触れるたびに、自分自身の文化や暮らしを見直すきっかけをもらっています。

This is Uの2期スタート際の様子

PRINT+PLANTでのスタディツアーのひとコマ

2.今月のテーマ「受け継がれるもの」

先日、以前働いていたデザイン会社で上司だった方の三回忌がありました。

若くして亡くなってしまった彼のことを考えるたびに、もし今も生きていたら、この時代を見てどんなことを考え、どんなアイデアを生み出していただろうと思います。

私は長くデザイン会社の企画チームに所属し、リサーチやフィールドワーク、インタビューを通じて、人や社会を理解する、デザインの上流部分の仕事に携わっていました。

当時の私は、決して優秀な部下ではなかったと思うし、大きな成果を残せたという実感もありません。

けれど今回改めて思うのは、彼から受け取ったものは、「世の中を見る視点」だったのではないかということです。

当時取り組んでいたエスノグラフィーやデプスインタビューは、人が何を大切にし、どのような文脈の中で生きているのかを理解しようとする営みでした。

振り返ると、私は今も同じことをしてるなと思います。
なぜなら、ブランディングでは、その人が大切にしている価値観を見つめていくことだから。

対象は変わったけれど、「理解したい」という根っこの部分は変わっていなかったのだ、と気づきました。

人は亡くなります。
建物もなくなるし、事業だって終わるかもしれません。

でも、その人が持っていた視点や価値観は、誰かの中に残り、別の形で受け継がれていくと思います。

でもその時、価値のあるものは消えないのだけど、言葉にされないまま埋もれていくというもどかしさがあります。

だから私は記録したいし、話を聞いて、残していって、必要な誰かに届けたいと感じます。

ボスの三回忌を迎えて、ようやく思うのは、私は今、自分なりの形で、彼から受け取ったものをもう一度見つめて、次へ渡そうとしているのかもしれない、ということでした。

画像は、最後に上司と一緒だった会社で、当時のスタッフメンバー全員が携わって作ったカルチャーコードブック。
コロナ禍を経て散らばりそうになっていたメンバーの心と、会社として大事にしていくことを繋いだ取り組みでした。彼の少し不器用ながらもみんなを愛する気持ちや、よく考えられた彼らしい言葉使いを感じることができます。当時スタッフだった私の名前もクレジットされ、メンバーによるデザイン、美しい装丁で、こうして物として手元に残ることのありがたく思います。

3.今月の小さなお知らせ

VISIONARIAの活動が少しずつ新しいフェーズに入りました。

これまで「描いたビジョンを実現していくための行動型プラットフォーム」として、私たちを表現していましたが、ここを少しチューニングしました。」

これからは「VISIONARIAは、「働くこと」と「生きること」そのあいだにある視点や感覚を言葉と対話で編集するメディア」として、引き続き変わらず、月2回のPodcast「VISIONARIA TALKS」と、毎月最後の日にゆるりとお届けしている「効く!VISIONARIA」の発信を続けていきたいと思っています。

最新エピソード #33 では、新しいシーズンテーマ「”好きを仕事に”の、その先へ」のご紹介とともに、TSUGUMIとYOKOふたりの「好きを仕事に」してきたエピソードをお伝えしています。

私たちが観測したことや視点、リアルな経験談などを通じて、 あなたも少し考えてみたくなる、そんな時間をお届けできればうれしいです。

以下のリンクより、家事の合間や移動中など、ぜひお耳に入れてみてください。

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「グラデーションを合わせる」という感覚について考えたこと